Why eSPM

なぜ電気的走査型プローブ顕微鏡(eSPM)なのか

SEM や TEM は構造解析に非常に優れた顕微解析技術ですが、局所電気特性を直接測定することはできません。

そのため、構造が正常であっても発生する不具合の真因特定には限界があります。

Electrical Scanning Probe Microscopy(eSPM)は、こうした見えない電気的特性を信号として可視化する技術です。

導電性SPMプローブを用いて原子レベル・ナノスケールにおける電気特性の空間分布を可視化し、ばらつきや異常の発生箇所を特定します。

電気特性の二次元分布と局所ナノプロービングを統合的に評価することで、「構造の背後で何が起きているのか」を明らかにし、設計・プロセス・材料開発における論理的な意思決定を支援します。

eSPMが活きる場面

  • 構造に大きな異常は見られないが、動作不良やばらつきが発生している場合。
  • 局所的なリークパスやキャリア濃度の不均一性を把握したい場合。
  • 従来の SEM / TEM 観察だけでは、不具合の真因に到達できていないと感じている場合。
  • 表面・界面近傍での電気的挙動を、空間分布と局所特性の両面から評価したい場合。

Electrical SPM

電気的走査型プローブ顕微鏡の代表的手法

eSPM は、ナノスケールにおける電気特性の空間分布を可視化し、ばらつきや異常の発生箇所を特定するための総称です。
代表的な手法として、C-AFM、SSRM、SMM などが挙げられます。

Conductive Atomic Force Microscopy
(C-AFM)

導電性原子間力顕微鏡法

  • 表面形状像と電流分布像を同時取得。
  • 微小リークパス、絶縁破壊、導電経路の可視化に有効。

Scanning Spreading Resistance Microscopy(SSRM)

走査型拡がり抵抗顕微鏡法

  • 断面試料における拡がり抵抗を測定し、キャリア濃度分布を定量評価。
  • pn接合位置や不純物拡散の広がりをナノスケールで把握。

Scanning Microwave Microscopy
(SMM)

走査型マイクロ波顕微鏡法

  • マイクロ波応答(S₁₁)を解析し、インピーダンスや静電容量の空間分布を評価。
  • 誘電率や容量分布、キャリア分布のナノスケール評価に応用可能。

Method 1

C-AFM:微小リークパスの同定

C-AFM は、導電性プローブで試料表面を走査しながら、表面形状と電流分布を同時に取得する手法です。
絶縁膜破壊や局所的な導電経路の形成など、微小リークパスを直接可視化できます。

C-AFM測定原理図
C-AFM 測定原理図(導電性プローブを用いた表面電流の直接測定)

Method 2

SSRM:キャリア濃度分布の定量化

SSRM は、高荷重をかけた導電性プローブで断面試料に接触し、拡がり抵抗を測定する手法です。
これにより、半導体デバイス内部のキャリア濃度分布や pn 接合位置をナノスケールで定量評価できます。

SSRM測定原理図
SSRM 測定原理図(拡がり抵抗とキャリア濃度の関係を用いた評価)

Features

イメージングとナノプロービングを統合したeSPMの特徴

eSPM は、イメージングで特定した位置に対してナノ精度で直接測定を行い、電気特性を定量化できる点に特長があります。

ナノ精度での位置決め

形状像と電気特性マップを相関させることで、再現性高くターゲット位置へアクセス可能です。不具合箇所や特異点に対し、狙った位置で局所評価を実施できます。

ダイレクト電気特性評価

I–V 特性や容量特性などを直接取得し、分布情報を物理量として確定できます。「どこで」「どの程度」電気的な差が生じているのかを、定量的に把握できます。

Comparison

SEM・TEM と eSPM の違い

SEM、TEM、eSPM はいずれもナノスケール評価に用いられる重要な技術ですが、計測対象と得意とする情報は明確に異なります。
SEM / TEM が主に「構造」を捉えるのに対し、eSPM は「電気的機能」を捉える技術です。

項目 SEM / TEM eSPM
計測対象 構造・形態・組成 電気特性・機能(電流、電位、キャリア分布など)
測定原理 電子線観察(表面・透過像) プローブによる直接電気測定
情報の本質 見た目(構造) 動作(電気的機能)
評価の焦点 形状解析・内部構造解析 機能解析・不具合の真因特定

構造に異常が見られない場合でも、eSPM により電気特性の分布と局所特性を直接評価することで、不具合の真因を物理的に特定できます。
「分布の可視化」と「定点計測」の相関データにより、設計・プロセス・材料開発における迅速かつ論理的な意思決定を支援します。

Use Cases

eSPMをどのように活用すべきか

どの手法が「優れているか」ではなく、どの課題に対して最も適しているかが重要です。

構造評価には SEM / TEM が有効ですが、機能ばらつきや電気的不具合の真因を探るには eSPM が力を発揮します。

たとえば、外観や表面欠陥を素早く確認したい場合は SEM、内部構造や結晶欠陥まで深く見たい場合は TEM が不可欠です。

一方で、局所的なリーク、キャリア濃度の不均一性、表面電位や局所応答の不均一性を評価したい場合には eSPM が有効です。

こんな場合はeSPMをご検討ください

  • SEM / TEM では構造に問題が見当たらないが、動作不良が発生している。
  • 局所リークパスやキャリア濃度分布の偏りを把握したい。
  • 表面・界面近傍の電気的挙動を、分布と局所特性の両面から確認したい。
  • 量産トラブルの真因を物理的に切り分けたい。

Metrix Value

Metrixが提供するeSPM解析の価値

Metrix では、eSPM を単なる観察手法としてではなく、材料・デバイス開発における課題解決のための評価基盤として位置づけています。

単に画像やマップを取得するだけでなく、試料特性、開発目的、必要な判断材料を踏まえたうえで、どの測定モードが適切か、どのような解析が有効かを含めてご提案します。

また、SEM や TEM など他の解析手法との役割分担も視野に入れながら、eSPM を中核とした評価フローを設計することで、より本質的な課題把握と再発防止に貢献します。

「どの手法を選べばよいか分からない」「まず何を見ればよいか整理したい」といった段階からでもご相談いただけます。

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